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HubSpot公開日 2026.10.18・更新日 2026.10.23・執筆:UniteX編集部・約21分で読めます

メール・LINE・SMSの使い分けと併用|届かない相手にも届けてリーチを最大化する方法

メール・LINE・SMSの使い分けと併用|届かない相手にも届けてリーチを最大化する方法
執筆者
UniteX編集部

株式会社UniteXが運営するブログの編集部。HubSpot・CRM・AIの業務活用に関する情報を発信しています。

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せっかく登録や反響をくれたお客様に、案内が届いていない。

人材紹介・派遣、不動産、スクール、通販など、個人のお客様に連絡する業種でマーケティングを担当している方なら、こんな状況に心当たりがあるはずです。

  • 登録者は数千人、数万人いるのに、メールアドレスがない人には案内を届ける手段がない
  • LINEで友だちになった人が、顧客管理システム(CRM)の誰なのか分からない
  • メールとLINEの両方で、同じ人に同じ案内が2通届く
  • 電話番号はあるのに、形式がそろっておらずSMSの宛先が作れない

どれも「チャネルが足りない」のではありません。「1人のお客様に、どのチャネルなら届くのか」が整理されていないことから起きています。

この記事では、メール・LINE・SMSを組み合わせて、1人でも多くのお客様に届けるための設計を解説します。人材派遣会社と不動産会社の現場の例もあわせて紹介します。

この記事でわかること
  • 結論:リーチは「チャネルの数」ではなく「1人にどれで届くか」で決まる
  • メール・LINE・SMSの特徴を比較する
  • 現場で起きていること:人材派遣会社と不動産会社の例
  • まず「誰に、どれで届くか」を棚卸しする
  • 同じ人に2通届く問題は「CRMのID」で名寄せする

結論:リーチは「チャネルの数」ではなく「1人にどれで届くか」で決まる

近道は、チャネルを増やすことではありません。

1人のお客様にどのチャネルで届くのかを、CRMの1つのIDにまとめること。そのうえで、目的ごとに主役のチャネルを決め、届かなかった人にだけ次のチャネルで送ります。

チャネルを足していく運用 1人1つのIDで束ねる運用
届く人の把握 チャネルごとの登録者数しか分からない 「この人にはどれで届くか」が1人ずつ分かる
重複 同じ人に複数チャネルで同じ案内が届く 1人に1回だけ届ける
届かない人 どのチャネルでも届いていない人が見えない 届かない人を特定し、連絡先を取りにいける

メール・LINE・SMSの特徴を比較する

メール・LINE・SMSの3チャネルについて、届けるのに必要な連絡先と得意なことを並べて比較し、1人の顧客IDで役割を分けることを示した図解

3つのチャネルは、得意なことが違います。料金は2026年10月18日に各社の公式ページで確認した内容です。

比較の軸 メール LINE(LINE公式アカウント) SMS(ショートメッセージ)
届けるのに必要なもの メールアドレス 友だち追加 携帯電話番号
向いている内容 求人や物件の一覧など、情報量の多い案内 短いお知らせ、リマインド 重要な連絡、メールやLINEで届かない人への案内
届き方の特徴 迷惑メールに入ることがある。開封の判定はぶれやすい ブロックされると届かない。個人ごとの開封は取れない 電話番号があれば届く。開封は測れない
費用 配信ツールの料金による 月額プランごとに無料通数が決まっている 送るたびにかかる。長文ほど高い
同意と停止 特定電子メール法に沿って同意と受信拒否の表示 友だち追加が入口。ブロックで止まる 特定電子メール法の対象。メールと同じ対応が必要

メール:情報量で勝負できる、唯一のチャネル

求人なら勤務地・給与・仕事内容、物件なら価格・間取り・写真を添えて5件並べる。こうした案内を無理なく送れるのはメールだけです。

ただし、届くかどうかは送信側の設定にも左右されます。

Gmailは、1日5,000件以上をGmail宛てに送る送信者に、SPF・DKIM・DMARCの設定、ワンクリックでの登録解除、迷惑メール率0.3%未満などを求めています(出典:Google「メール送信者のガイドライン」)。登録者が数万人いる会社は、すぐにこの対象になります。

LINE:気づかれやすく、接点が続く

LINEの国内月間利用者数は、2025年12月時点で1億を超えました(出典:LINEヤフー 2026年1月29日発表)。

ふだん使うアプリに届くので、メールを見ない人にも気づかれやすい。返信やボタンでのやりとりも続きます。ただし届くのは友だち追加した人だけで、ブロックされると届きません。

料金プランは次のとおりです(出典:LINEヤフー for Business「料金プラン」、2026年10月18日確認)。

プラン 月額固定費(税別) 無料メッセージ通数 追加メッセージ
コミュニケーションプラン 0円 200通 不可
ライトプラン 5,000円 5,000通 不可
スタンダードプラン 15,000円 30,000通 1通あたり約3円〜(税別)

通数は「送った回数×送った友だちの数」です。友だちが1万人なら、1回の一斉配信で1万通。登録者の多い会社では、何回送るかがそのまま費用に効きます。

SMS:電話番号さえあれば届く

SMSの強みは、届く範囲の広さです。メールアドレスがない人、LINEの友だちでない人にも、携帯電話番号があれば届きます。

一方で、送るたびに費用がかかります。

NTTドコモの個人向けSMSは、全角70文字までが1通3円(税込3.3円)。文字数に応じて最大670文字・30円(税込33円)まで上がります(出典:NTTドコモ「SMS ご利用料金」)。法人向けの配信サービスは料金体系が異なりますが、「1通ごとにかかる」「長文は割高」は同じです。

用件を短く絞り、詳しい内容はリンク先に置く。これが基本の型です。

現場で起きていること:人材派遣会社と不動産会社の例

業種の違う2つの現場を見てみます(いずれも実在の会社の例ですが、社名や固有の情報は伏せています)。

例1:チャネルは3つあるのに、誰に届いているか分からない人材派遣会社

施工管理などの求人を登録者に届け、応募や面談につなげている会社です。メールマガジンに加えて、LINEとSMSも使っていました。

それでも、悩みは「チャネルが足りない」ではありませんでした。

1人の登録者を中心に、メールアドレスがない、LINEと顧客管理がつながらない、同じ人に2通届く、電話番号の形式がばらばら、という4つの穴を示し、連絡先と記録がチャネルごとに別々であることを表した図解

  • メールアドレスのない登録者が数万人規模いる。電話番号は分かっているので、SMSで届けたい
  • LINEの友だちが、顧客管理システムの誰なのか分からない。LINEはリード獲得用に別のデータベースで回してきたため、CRM(Salesforce)のIDとつながっていない
  • アンケートを、できるだけ多くの人に届けたい。退職の兆しを早めに拾うため、メール・SMS・LINEの3つで到達させたい
  • 求人データを二重に更新している。同じ求人を、メール用とLINE用で別々に手で反映
  • 同じ人に2通届く心配がある。別のメールアドレスで二重に登録されている、勤務先のアドレスに送ってしまう
  • LINEの数字がまとまらない。送信・開封・クリックが別々に記録され、日次のレポートは担当者が手で計算
  • 電話番号の形式でつまずく。国際形式(E.164)にそろっていない番号は、SMSの宛先が作られない

一つひとつは小さな困りごとです。しかし根っこは同じで、連絡先と記録がチャネルごとに別々にあり、「この人に、どれで届くのか」を1か所で判断できない。

そのため、届かない人を見つけることも、重複を防ぐことも、効果を比べることも、人の手に頼るしかなくなっていました。

例2:接点が営業個人のLINEに閉じている不動産会社

投資用の物件を仕入れて投資家に販売している会社です。お客様との接点は営業個人のLINEが中心で、会社として物件を案内するメールの仕組みはありません。

LINEは届きやすい反面、次のような状態になっていました。

  • 誰にどんな連絡をしたかが、営業ごとに閉じている。「このお客様には先週この物件を案内した」が会社として見えない
  • 会社からの一斉の案内ができない。新着物件や価格改定を、条件の合うお客様全員に届ける手段がない
  • 何か月も連絡が空いているお客様に気づけない。最後の連絡日が会社のデータとして残らない
  • メールアドレスは持っているのに使われていない。反響時に登録された連絡先が、LINEとは別の場所に置かれたまま

こちらは「チャネルを束ねる」以前に、いちばん届くチャネルが会社のデータとつながっていない例です。営業が異動や退職をすれば、そのお客様との接点ごと失われます。

2つの例に共通していること

業種は違っても、つまずいている場所は同じです。

連絡先と連絡の記録が、チャネルごと・担当者ごとに分かれている。だから「このお客様に、会社としてどれで届くのか」を1か所で判断できない。

以下では、この状態をほどいていく順番に沿って、実務のポイントを整理します。

まず「誰に、どれで届くか」を棚卸しする

最初にやるのは、配信の設計ではなく、連絡先の棚卸しです。登録者全員について、どのチャネルで届くのかを数えます。

登録者の一覧に対してメール・LINE・SMSの3列で届く・届かないを○×で見る棚卸し表のイメージ。どれでも届かない人を見つけて連絡先を取りにいくことを示した図解

区分 人数 打ち手
メール・LINE・SMSのすべてで届く ◯人 優先順位を決めて、重ねて送らない
メールだけ届く ◯人 LINEの友だち追加を案内する
LINEだけ届く ◯人 CRMとのひも付けを最優先で進める
SMSだけ届く(電話番号のみ) ◯人 SMSで届けつつ、メールアドレスやLINEを取りにいく
どれでも届かない ◯人 面談や電話で連絡先を取り直す

この表が作れないなら、それ自体が「連絡先がつながっていない」サインです。穴が多いのは、次の3か所です。

穴1:メールアドレスがない層

電話で登録を受けた人、応募サイト経由で電話番号だけ分かっている人は、メールアドレスを持っていないことがあります。

この層には、まずSMSで届けます。SMSの文面に希望条件の登録フォームへのリンクを入れ、そこでメールアドレスやLINEの友だち追加を案内すれば、次からはより安いチャネルで届けられます。

穴2:LINEの友だちが、CRMの誰なのか分からない

LINEの友だちには、LINEが発行する「ユーザーID」がつきます。表示名やLINE IDとは別の値で、事業者(プロバイダー)ごとに異なります(出典:LINE Developers「ユーザーIDを取得する」)。

つまり何もしなければ、LINEの友だちとCRMの顧客は別人のまま並びます。つなぐ方法は2つです。

  • ID連携(アカウント連携)。LINE上で自社サービスにログインしてもらい、LINEのユーザーIDと顧客IDをひも付ける。LINEが公式に用意している仕組み(出典:LINE Developers「ユーザーアカウントを連携する」)
  • 友だち追加の直後に本人確認を入力してもらう。登録済みの電話番号やメールアドレスでCRMと照合する。開発は軽いが、入力した人しかつながらない

どちらの場合も、結果はCRMの顧客レコードにLINEのユーザーIDとして保存します。LINEを別のデータベースで運用してきた場合は、ひも付けがどれくらいできているかを数えるところから始めます。

穴3:電話番号の形式がそろっていない

「090-1234-5678」「09012345678」「+81 90 1234 5678」。同じ番号でも、入力された経路によって形式はばらばらです。

SMSの配信サービスによっては、宛先を国際形式で渡す必要があります。国際形式(E.164)では、国番号81の前に「+」をつけ、先頭の「0」を外して「+819012345678」と書きます(参考:ITU-T Recommendation E.164)。

例1の会社では、形式がそろっていない番号に宛先が作られず、送れていない人がいると後から気づきました。電話番号は、登録・取り込みの時点で国際形式に変換してCRMに持っておくのが確実です。固定電話の番号とは区別しておきます。

同じ人に2通届く問題は「CRMのID」で名寄せする

メールアドレス2つ、LINEのユーザーID、国際形式の電話番号をCRMの顧客IDに集約して名寄せし、配信停止も同じIDで管理することを示した図解

チャネルを増やすと、重複も増えます。

  • 同じ人が、別のメールアドレスで2回登録している
  • 個人のアドレスと、勤務先のアドレスの両方が登録されている
  • 同じ人に、メールとLINEの両方で同じ案内が届く

重複を防ぐには、「何をもって同じ人とみなすか」の基準を1つに決めることが欠かせません。メールアドレスを基準にすると、アドレスが2つある人は2人になります。電話番号も、家族で共有していたり番号を変えたりするとずれます。

例1の会社は、基準をCRMが持っている顧客の固有IDにしました。メールアドレス、LINEのユーザーID、電話番号は、すべて「その顧客IDにぶら下がる連絡先」として扱います。こうすると、連絡先が複数あっても、配信は顧客IDの単位で1回に絞れます。

進め方は次の順です。

  1. 基準のIDを決める。CRMの顧客IDなど、変わらない値にする
  2. 候補を洗い出す。電話番号が同じ、氏名と生年月日が同じ、といった条件で抽出する
  3. 人が確認して統合する。自動で統合すると、家族を1人にまとめる事故が起きる
  4. 送り先のアドレスを決める。勤務先のアドレスは配信先にしない

なお、HubSpotはコンタクトをメールアドレスで自動的に重複判定します。レコードIDや、値の重複を許さない設定にしたカスタムプロパティ(1つのオブジェクトにつき最大10個)も、取り込み時の照合に使えます(出典:HubSpotナレッジベース「Deduplication of records」、2026年9月8日更新)。

他システムの顧客IDをこの項目として持たせておけば、システムをまたいだ照合の土台になります。データの整理はCRMデータクレンジング完全ガイドでも解説しています。

優先順位を決め、届かなかった人にだけ次のチャネルで送る

名寄せができたら、チャネルの使い方を決めます。「全部に送る」ではなく、目的ごとに優先順位を決め、届かなかった人にだけ次のチャネルで送る段階的な配信です。

LINE、メール、SMSの順に、届かなかった人や回答しなかった人にだけ次のチャネルで送り、回答した時点で止める段階的な配信の流れを示した図解

目的ごとに、主役のチャネルを決める

目的 主役 補う 考え方
新着の案内(求人・物件など) メール LINE(短い告知) 中身はメール。LINEは気づいてもらう入口
面談・内見・来店のリマインド LINE SMS 短く確実に。LINEが届かない人にSMS
アンケート LINE メール → SMS できるだけ多くの人に。段階的に広げる
メールアドレスのない人への案内 SMS なし 用件は短く。詳細はリンク先で

段階的な配信の組み方

例1の会社が考えていた、退職の兆しをつかむアンケートで組むとこうなります。

  1. LINEの友だちには、まずLINEで送る。気づかれやすく、費用も小さい
  2. 2日たっても回答がない人、LINEでつながっていない人には、メールで送る
  3. それでも回答がない人、メールアドレスがない人には、SMSで送る。費用のかかるSMSは最後の手段
  4. 回答した時点で、以降の送信を止める。回答した人に催促が届くのは、いちばん避けたい事故

待つ日数や、どこまで追いかけるかは、目的の緊急度で変えます。

大事なのは、「届いたか」「行動したか」を顧客IDの単位で判定し、次のチャネルに進むかを決めること。チャネルごとに別々に配信していると、この判定そのものができません。

送りすぎを防ぐ上限をチャネル横断で決める

メールで週1回、LINEで週1回、SMSで月2回。それぞれは控えめでも、受け取る側から見れば、同じ会社から何度も連絡が来ている状態です。

  • 1人あたりの上限を、チャネルの合計で決める(例:1週間に合計2通まで)
  • 上限に達したら、優先度の低い配信から見送る
  • 応募・内見・面談の予定が入っている人には、新着の案内を止める

求人や物件の情報をメール用とLINE用で別々に更新しているなら、データの置き場所を1つにまとめ、各チャネルはそこから読み出す形にします。二重更新がなくなり、終わった求人や成約済みの物件が片方にだけ残る事故も防げます。

相手ごとに合う求人や物件をメールへ自動で差し込む方法は、人材紹介・派遣向けの記事と不動産向けの記事で解説しています。

配信停止は、チャネルをまたいで同じIDで管理する

あるチャネルで「もう送らないで」と言われたとき、他のチャネルはどうするか。先に決めておかないと、現場の判断がばらつきます。

1つの顧客IDの下にメール・LINE・SMSの3チャネルがぶら下がり、求人案内と就業の連絡のように連絡の種類ごとに停止・継続のフラグを持つことを示した図解

停止の申し出 最低限やること 決めておくこと
メールの配信停止 そのアドレスに広告宣伝のメールを送らない LINE・SMSの案内を続けるか
SMSの停止 その番号に広告宣伝のSMSを送らない メール・LINEの案内を続けるか
LINEのブロック 届かないので送れない メールやSMSで同じ案内を送るか

おすすめは、停止を「どのチャネルの、どの種類の連絡を止めるか」として顧客IDに記録することです。

「求人の案内は全チャネルで止めるが、就業中の連絡(シフトや手続き)は続ける」のように分けて持てば、本人の意思を尊重しつつ必要な連絡は届けられます。停止を受けた時期と方法も記録に残します。

法令:特定電子メール法はSMSも対象になる

広告や宣伝のメッセージを送るときは、特定電子メール法を守る必要があります。総務省・消費者庁のパンフレットで示されている要点です(出典:総務省・消費者庁「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。

特定電子メール法の事前の同意、送信者名と受信拒否の方法の表示、受信拒否への対応という3つの要件が、メールとSMSの両方に同じようにかかることを示した図解

  • SMSも対象。電話番号を使ってメッセージをやりとりするサービスも含まれる
  • オプトイン。原則、あらかじめ同意した人にだけ送れる(取引関係がある場合など一定の例外あり)
  • 同意の記録を保存する。保存期間は、最後に送った日から1か月(措置命令を受けた場合は1年)
  • 表示義務。送信者の氏名または名称、受信拒否ができること、その通知先を表示する
  • 受信拒否への対応。同意があっても、拒否の通知を受けたら以後は送れない

違反には命令や罰則があります。SMSは文字数が限られますが、送信者名と停止の方法は省けません。冒頭で社名を名乗り、停止用のURLや返信での停止方法を入れます。

載せる情報そのものにも、業種ごとのルールがあります。

チャネルごとにデータを手で更新していると、終わった求人や物件が片方にだけ残りやすくなります。

効果は「届いた・開いた・行動した」をそろえて見る

チャネルを束ねたら、効果も同じ物差しで見ます。ここで知っておきたいのは、チャネルによって測れるものが違うことです。

メール・LINE・SMSの3チャネルと届いた・開いた・行動したの3指標のマトリクス。開いたはメールが推定、LINEが集計値のみ、SMSは測れないため、共通の指標を行動したに置くことを示した図解

指標 メール LINE SMS
届いた 到達・不達が分かる 送信数は分かる サービスによっては到達結果を確認できる
開いた 画像の読み込みで推定(ぶれやすい) 個人単位では取れない。集計値のみ 測れない
行動した クリック、回答、応募・問い合わせ タップ、回答、応募・問い合わせ クリック、回答、応募・問い合わせ

特にLINEは注意が必要です。

Messaging APIでは、プライバシー保護の観点から、個別のメッセージの開封やタップを1人ずつは取得できません。送信時に付けた「ユニット」ごとの集計値が得られる仕組みで、20未満の値は返らず、数値には誤差も含まれます(出典:LINE Developers「ユニットベースの統計情報」)。

例1の会社が日次レポートを手で作っていた背景には、この仕組みの違いがあります。対策は3つです。

  1. 共通の指標は「行動した」に置く。開封は横断で比べる指標にしない。クリック、回答、応募、面談の予約など、どのチャネルでも測れる行動を主な指標にする
  2. リンクにチャネルの目印をつける。LINE用・メール用・SMS用でURLのパラメータを分け、どこから来た行動かを分かるようにする
  3. 行動を顧客IDに記録する。段階的な配信の「次に進むか」の判定にそのまま使え、レポートも自動で集計できる

開封率は参考値。「何人に届いて、何人が行動したか」を顧客IDの単位で数える。これだけで、数字を転記して手で計算する作業は大きく減ります。

HubSpotで束ねる場合の現実的な構成

ここまでの設計は、ツールを問わず使える考え方です。HubSpotを土台にする場合は、できることとできないことを先に押さえます。

HubSpotのCRMを中心に、メールは標準機能で配信し、LINEは連携サービス経由、SMSは国内のSMS配信サービス経由で送り、結果をHubSpotに書き戻す構成を示した図解

  • メール。Marketing Hubで、配信・停止の管理・効果測定まで標準の機能で行える
  • SMS。HubSpotのSMS機能は米国の番号から送信し、宛先は米国・カナダに限られる(出典:HubSpotナレッジベース「Set up SMS messaging」、2026年10月5日更新)。日本の携帯電話には、国内のSMS配信サービスと連携して送る
  • LINE。直接つながる標準の機能はない。連携アプリ、iPaaS(ノーコード連携ツール)、Messaging APIを使った開発のいずれかで実現する

つまりHubSpotの役割は、すべてのチャネルを自前で送ることではありません。1人の顧客のIDと、連絡先・同意・停止・行動の記録を1か所に持つ土台です。

構成は次のようになります。

  1. コンタクトに、メールアドレス、国際形式の携帯電話番号、LINEのユーザーID、他システムの顧客IDを持たせる
  2. チャネルごと・連絡の種類ごとの同意と停止の状態を、項目として持たせる
  3. 「誰に、どの順で、どのチャネルで送るか」の判定はワークフローで行い、SMSとLINEの送信は外部サービスに任せる
  4. 送信結果や回答をコンタクトに書き戻し、次の判定とレポートに使う

どこまでを標準の機能で作り、どこからを連携や開発で補うかは、登録者の数、使っているSMS・LINEのツール、既存の顧客管理システムとの関係で変わります。別のシステムに顧客データがある場合は、どちらのIDを基準にするかの設計から始めます(参考:顧客ID統合とは?バラバラのツール運用をHubSpotでつなぐ進め方)。

費用面では、Marketing Hubはメールの配信対象にする「マーケティングコンタクト」の数で料金が変わります。SMSやLINEでしか届かない人まで対象にすると、メールを送らない人の分まで費用がかかります(参考:HubSpotマーケティングコンタクト課金を3割削減する設定レシピ)。

明日から始める5つのステップ

連絡先を棚卸しする、基準のIDで名寄せする、連絡先の形式をそろえる、目的ごとの優先順位表を作る、停止と測定を共通にする、の5つのステップを順に並べた図解

  1. 連絡先を棚卸しする。登録者全員について、メール・LINE・SMSのどれで届くかを数える
  2. 基準のIDを決めて名寄せする。CRMの顧客IDを基準に、重複の候補を人が確認して統合する
  3. 連絡先の形式をそろえる。電話番号は国際形式に、LINEの友だちはユーザーIDでCRMにひも付ける
  4. 目的ごとの優先順位表を作る。主役と補うチャネル、次に進むまでの日数、止める条件、1人あたりの上限を決める
  5. 停止と測定を共通にする。停止は顧客IDに記録し、効果は「行動した」を共通の指標にする

まとめ

  • リーチを最大化する近道は、チャネルを増やすことではなく、1人の顧客にどのチャネルで届くかをCRMの1つのIDにまとめること
  • メールは情報量、LINEは気づかれやすさ、SMSは電話番号だけで届く範囲の広さ。強みに合わせて役割を分ける
  • 連絡先の穴を埋め、CRMの顧客IDを基準に名寄せする
  • 目的ごとに優先順位を決め、届かなかった人にだけ次のチャネルで送る。上限と配信停止はチャネルをまたいで管理する
  • 特定電子メール法はSMSも対象。同意・表示・拒否への対応をチャネル共通で整える
  • 効果は「行動した」を共通の指標にして、顧客IDの単位で集計する

UniteXは、HubSpot Platinum Solutions Partnerです(日本でPlatinum以上の認定を受けているのは17社。2026年9月時点)。顧客データの名寄せや他システムとの連携、SMS配信サービスやLINEとの連携を含めたHubSpotの設計・構築を支援しています。

「チャネルは増えたのに、誰にどれで届いているのか分からない」とお感じでしたら、UniteXのHubSpot構築支援から、まずは今の顧客データの状態をお聞かせください。

よくある質問(FAQ)

Q1. メール・LINE・SMSは、結局どれを優先すべきですか?

目的によって変わります。情報量の多い求人や物件の案内はメール、短く確実に気づいてほしいリマインドはLINE、どちらも届かない人への連絡はSMS、が基本です。目的ごとに主役を決め、届かなかった人にだけ次のチャネルで送ると、重複と費用を抑えられます。

Q2. LINEの友だちを、顧客管理システムの顧客とつなぐにはどうすればいいですか?

LINE公式の「ID連携(アカウント連携)」を使う方法と、友だち追加の直後に登録済みの電話番号やメールアドレスを入力してもらって照合する方法があります。どちらも、結果はLINEのユーザーIDとして顧客のレコードに保存します。ユーザーIDは事業者(プロバイダー)ごとに異なる値になる点に注意してください。

Q3. SMSも特定電子メール法の対象ですか?

対象です。総務省・消費者庁のパンフレットで、電話番号を使ってメッセージをやりとりするサービス(SMSなど)も対象と示されています。事前の同意、同意の記録の保存、送信者名と受信拒否の方法の表示、拒否への対応が必要です。

Q4. HubSpotだけで、日本の携帯電話にSMSを送れますか?

2026年10月時点のHubSpotのナレッジベースでは、SMS機能は米国の番号から送信し、宛先は米国・カナダに限られます。日本の携帯電話に送るには、国内のSMS配信サービスと連携し、送る相手や順番の判定をHubSpotで行う構成が現実的です。

Q5. LINEの開封率を、メールと同じように1人ずつ測れますか?

測れません。LINEのMessaging APIでは、プライバシー保護の観点から個別の開封は取得できず、集計値として得る仕組みです。チャネルをまたいで比べるときは、開封ではなく、タップや回答、応募といった行動を共通の指標にします。

Q6. 同じ人が複数のメールアドレスで登録されています。どれに送ればいいですか?

まず、CRMの顧客IDなど変わらない値を基準に、同じ人の登録を1つにまとめます。そのうえで送り先を1つ決め、勤務先のアドレスは配信先にしません。自動で統合すると別人をまとめることがあるため、最初は候補を人が確認するのが安全です。

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