
不動産会社で追客メールや物件案内を担当していると、次のようなことが日常になっていないでしょうか。
- 配信のたびに、お客様の条件に合う物件を探して、写真・価格・間取りをメールに貼り付けている。掲載URLの確認まで含めると、1回の配信準備に半日かかる
- 「世田谷×ファミリー」「単身×駅近」「投資×利回り重視」のように条件別のリストを何本も抱え、お客様の条件が変わるたびにリスト間の入れ替えも手作業になっている
- 準備に時間がかかるほど、載せた物件から先に決まっていく。配信した翌日、お客様から「この物件、もう売れたんですね」と返信が届く
- 仕入れた物件を誰に提案するかを、営業の記憶と営業会議で決めている。どの顧客にどの物件を提案済みか一覧で見られず、破談で戻ってきた物件の提案先をゼロから探し直している
- 反響直後の初回返信、条件に合う新着物件の通知、価格改定のお知らせ、しばらく動きのないお客様の掘り起こし。送りたいメールははっきりしているのに、いまの作業量では新しいメールを1本も増やせない
- 自社の基幹システムから配信している場合も、送信通数の上限や作りつけの配信条件に縛られ、思いついた施策をすぐには試せない
心当たりがあるなら、それは担当者の努力の問題ではありません。セグメントの数だけ物件を選んで貼る作業は、手作業ではそもそも実現できない量になっています。
この記事では、なぜ手作業の追客メールが回らないのかを、不動産会社の現場で実際に起きていることと、セグメントの数の計算、そして「送れずに消えているメールの通数」から具体的に示します。そのうえで、物件が自動でメールに入るHubSpotの「プログラマブルEメール」で、この作業そのものをなくす方法と、導入前に決めておくことを解説します。
- 結論:物件を「手で貼る」作業がある限り、追客メールは回らない
- 追客メールの手間は「物件を探して貼る」作業でできている
- セグメントが多すぎて、手作業ではそもそも実現できない
- 現場で起きていること
- 手作業のままだと、送りたいメールの大半が消える
結論:物件を「手で貼る」作業がある限り、追客メールは回らない
先に結論です。
- 追客メールの手間の正体は、文章を書くことではなく、セグメントごとに合う物件を探して貼り付ける作業にある
- セグメントは「配信内容を変えたい数」だけ増える。追客メールは届けたい物件が1人ずつ違うため、セグメントは条件の掛け算で数百通り、突き詰めれば「1人1通り」になり、手作業では毎回すべてに合う物件を貼ることがそもそもできない
- 解決策は、作業を速くすることではなく、お客様の希望条件と物件データを配信の瞬間に照合し、物件を自動で差し込む仕組みに変えること。HubSpotでは「プログラマブルEメール」で実現できる
| 手作業の追客メール | プログラマブルEメール | |
|---|---|---|
| 物件を貼る作業 | セグメントの数だけ、毎回発生する | なし。配信の瞬間に自動で入る |
| セグメントの細かさ | 作業量の限界で、粗くせざるを得ない | 1人ずつの希望条件まで細かくできる |
| 成約済み・掲載終了の物件 | 送る前に人が1件ずつ確認して外す | 物件データを更新すれば、次の配信から載らない |
| 案内済み・内見済みの物件 | 1人ずつは外せない | 条件として除外できる |
| 作るメール | セグメントの数だけ | テンプレート1つ |
| 施策の自由度 | 自社システムで配信していても、送信の上限や作りつけの条件に縛られる | 担当者が条件を組み替えて、思いついた施策をすぐ試せる |
追客メールの手間は「物件を探して貼る」作業でできている
1つのセグメントに追客メールを1通送るまでに、担当者は次の作業をしています。

- 対象を絞る:エリア・価格帯・間取りなどの条件で、配信リストを作る、または更新する
- 合う物件を探す:物件管理システムや物件サイトから、その条件に合う販売中・募集中の物件を探す
- メールに貼る:前回のメールを複製し、件名を条件に合わせて書き換え、写真・価格・間取り・掲載ページのURLを貼り付ける
- 確認する:成約済みや掲載終了の物件が混ざっていないか、掲載URLが生きているかを1件ずつ確かめる
- 送る:テスト送信をして、配信を予約する
文章を考える時間は、このうちのわずかです。大半は「どの物件を載せるか」を決めて、それを貼る作業です。そしてこの作業は、セグメントが1つ増えるたびに、まるごと1回分増えます。
セグメントが多すぎて、手作業ではそもそも実現できない

セグメントは「配信内容を変えたい数」だけ増える
そもそも、なぜセグメントを分けるのでしょうか。相手によって配信する内容を変えたいからです。ファミリー向けの物件を探している人にはファミリー向けを、単身向けを探している人には単身向けを届けたい。だから「ファミリー」「単身」というセグメントが生まれます。
つまり、セグメントの数は「変えたい配信内容の数」で決まります。追客メールでは、届けたい物件の組み合わせがお客様ごとに違うため、内容を変えたい単位は限りなく細かくなります。相手に合わせようとするほど、セグメントは増える構造です。
掛け算で、すぐに数百通りになる
実際に、お客様に合う物件を届けようとすると、セグメントは条件の掛け算で増えます。たとえば、営業エリア内の市区や沿線を20に分けている会社で計算してみます。
| 分け方 | セグメントの数 |
|---|---|
| エリア(20)だけ | 20通り |
| エリア(20)× 価格帯(5) | 100通り |
| エリア(20)× 価格帯(5)× 間取り(4) | 400通り |
投資用物件なら、間取りの代わりに利回りや築年が条件になります。エリア(20)× 価格帯(5)× 利回り(3)× 築年(3)なら900通りです。
1つのセグメントに物件を選んで貼るのに、仮に10分かかるとします。400通りなら1回の配信で約67時間、900通りなら約150時間です。毎週送るどころか、1回送り切ることすら現実的ではありません。
※エリア・価格帯・間取りの数も、10分という時間も、計算のために置いた仮の数字で、実測値ではありません。1分で済んだとしても、400通りなら1回あたり約7時間かかります。
本当に合わせたいのは「セグメント」ではなく「1人ひとり」
しかも、セグメントで分けても、まだ十分ではありません。
- 希望は1人で複数ある:「世田谷か杉並」「3LDKか広めの2LDK」のように、希望条件を複数持っている人は少なくありません
- 希望は途中で変わる:内見を重ねるうちに、予算や駅からの距離の条件は変わっていきます
- 外したい物件が人ごとに違う:すでに案内した物件、内見済みの物件、申込を入れた物件は、同じセグメントの中でも1人ずつ違います
つまり、本当に合う物件を届けようとするほど、変えたい配信内容の数は増え、セグメントは「1人1通り」に近づいていきます。配信内容を変えたい数だけセグメントが増える以上、これは避けられません。反響顧客が数百人、数千人いれば、手で貼る方法で追いつく余地はありません。問題は担当者の努力不足ではなく、人が条件を見て、人が物件を選んで、人が貼るという仕組みそのものにあります。
現場で起きていること
ここからは、不動産会社の物件案内の現場で実際に起きていることを見ていきます。1つ目は実在の会社の例(社名や固有の情報は伏せています)、2つ目は売買・賃貸仲介の現場でよく起きていることです。
例1:「この物件を組める人は誰か」を毎回人が探している会社
この会社は、投資用の物件を仕入れて投資家に販売しています。物件案内のメール配信は、まだ整備されていません。それ以前の段階で、「仕入れた物件を誰に提案するか」を決める作業そのものが、人の手に乗っていました。

- 提案先は週1回の営業会議で決めている:判断材料は、各営業の頭の中にある顧客情報と、顧客の属性を書いたスプレッドシートです。担当者の言葉を借りれば、「物件があったときに、これを組める人(融資が組めて買える人)って、誰がいるっけ?」と毎回探している状態です
- 顧客との接点は営業個人のLINEが中心:会社として物件を案内するメールの仕組みはなく、誰にどんな連絡をしたかは営業ごとに閉じています
- どの顧客にどの物件を提案済みかが一覧で見られない:提案した物件の資料は顧客別のフォルダに置かれ、横断して見る手段がありません
- 破談になった物件の提案先を、ゼロから探し直している:商談が流れた物件は、また売れる状態に戻ります。ところが「ほかにどの顧客に提案し直せるか」が分からず、毎回提案先を探し直しています
- 物件に「販売中/販売終了」の区別がない:売れたかどうかが一覧で分からず、人の記憶で補っています
- 顧客の希望エリア・希望価格帯・投資意欲が、項目として持てていない:営業の頭の中とスプレッドシートの自由記述に散らばっています
この会社自身も、「何か月も連絡が空いている顧客に、そろそろ連絡した方がいいと分かるようにしたい」「新規だけでなく、既存顧客の中にも機会がある」と考えています。
ここで起きているのは、メール配信を始める前の段階のつまずきです。物件が出るたびに、人が顧客を思い出して当てる。この方法は、顧客が数十人のうちは回りますが、顧客が増えるほど「思い出せる範囲」が限界になります。追客メールを自動化する以前に、「誰が、どんな条件の物件を探しているか」と「どの物件が、いま販売中か」をデータとして持つところから始める必要がある、というのがこの会社の現在地です。
仲介の現場でよく起きていること:追客メールが止まるまで
売買・賃貸仲介では、例1と違って追客メールの配信そのものは行われていることが多い一方で、その作業が重すぎて止まっていく、という流れがよく起きています。

- 条件別のリストを、何本も抱えている:「世田谷×ファミリー」「単身×駅近」「投資×利回り重視」のように、反響顧客を条件別のリストで管理している。お客様の検討条件が変わるたびに、リスト間の入れ替えも手作業で、リストは増える一方になる
- 物件情報を、手作業で貼り付けている:物件管理システムや物件サイトから写真・価格・間取りをコピーして、リストごとに本文を作り分ける。掲載URLが生きているかも1件ずつ確認する。1回の配信準備に半日ほどかかる(目安)
- 貼り付けた物件が、配信時にはもう成約している:準備に時間がかかるほど、載せた物件から売れていく。配信する頃には掲載終了で、慌てて差し替えて、また確認する。お客様から「もう売れたんですね」と返信が来る
- だから、追客メールが止まる:本当は毎週、新着物件を届けたい。けれどこの作業量では回らず、配信の間隔が空いていく。配信が止まった反響顧客はそのまま冷めていき、気づけば他社で契約が決まっている
成約済みの物件を案内してしまう問題は、お客様の信頼を損ねるだけではありません。実際には取引できない物件を表示し続けることは、後述する「おとり広告」の規制にも関わります。
自社の基幹システムで配信していても、思った施策が届けられない
物件管理システムや顧客管理システムを自社で作り、そこから物件メールを送っている会社もあります。手で貼る作業はなさそうに見えますが、別の壁に当たっているケースが少なくありません。

- 送信できる通数に上限がある:システムや送信の仕組みの制約で、1回や1日に送れる通数が決まっている。送りたい人全員には届けられず、配信を分けたり、対象を間引いたりすることになる
- セグメントを柔軟に切れない:配信の条件が、開発したときに決めた項目と組み合わせでしか選べない。「内見した物件に近い条件の人」「反響から一定期間がたった人」「検討中の物件が値下げされた人」のような新しい切り口を試すたびに、開発の依頼が必要になる
- 改修の順番待ちになる:施策を思いついても、システムの改修が終わるまで動かせない。そのあいだに、届けたいタイミングを逃してしまう
その結果、マーケティング担当が考えた施策を、狙った対象者に、狙ったタイミングで届けられません。手作業か自社システムかの違いはあっても、「送りたいメールが届けられない」という問題の根は同じです。
どの現場にも共通していること
扱う物件も規模も違っても、つまずいている場所は同じです。
- 物件を選ぶ作業が、人の手に依存している:誰にどの物件を案内するかを、毎回担当者が決めて貼り付けている。あるいは、営業の記憶で当てている
- 条件の数だけ、リストとメールを複製している:エリア、価格帯、間取り、利回りと条件が増えるほど、管理するリストと作るメールが増える
- 除外と鮮度の管理も手作業:成約済み・掲載終了の物件、案内済みの物件、内見・申込済みの物件を外す作業が追いつかない
- データが分かれている:お客様の希望条件、物件の情報、提案や内見の記録が、営業の頭の中・スプレッドシート・物件管理システム・個人のLINEに散らばり、つなぐ作業も人が担っている
- 施策の自由度が低い:自社システムで配信していても、送信の上限や作りつけの配信条件に縛られ、新しい施策をすぐに試せない
その結果、どの現場でも、届けるタイミングが大事なメールほど送れなくなっています。何を送るべきかは分かっているのに、物件を選んで貼る作業が重すぎて届けられない。手作業の限界が、そのまま機会損失になっているわけです。
手作業のままだと、送りたいメールの大半が消える
物件を貼る作業に追われると、追客メールは「送れるものだけ送る」状態になります。どれくらい消えるのかを、1人のお客様に届くメールの数で見てみます。

| 本当は送りたいメール | 届けたいタイミング | 本来の通数(1人あたり・月) | 手作業で届く通数 |
|---|---|---|---|
| 反響直後の初回返信(条件に合う物件つき) | 反響があったその日 | 1通 | 0通。定型の自動返信だけになり、物件つきの提案は後日になる |
| 条件に合う新着物件の通知 | 物件が出たその日 | 2通 | 0通。週1回のまとめ配信に吸収され、個別の通知としては送られない |
| 価格改定のお知らせ | 改定があった当日 | 1通 | 0通。気づいた担当者が個別に送るだけ |
| 定期の新着案内 | 毎週決まった曜日 | 4通 | 1通。隔週、月1回と間引かれる |
| 合計 | 月8通 | 月1通 |
※通数は、反響があった月のお客様1人に届く数の計算例です。物件の出方や配信の設計によって変わります。
この例では、本来届くはずの8通のうち7通が、送られないまま消えています。残った1通も、全員に同じ物件を並べた新着案内なので、そのお客様に合っているとは限りません。しかも消えているのは、反響直後や合う物件が出た日のように、いちばん反応が取れるタイミングのメールです。
ここに数えていないメールもあります。しばらく動きのないお客様の掘り起こしや、投資家への買い増し提案のように、該当する人にだけ届けたいメールです。これらは手作業では、そもそも送れていないことがほとんどです。
| 届かないメール | 届かないと起きること |
|---|---|
| 反響直後の初回返信 | 検討の熱が高いうちに接点を持てず、他社で先に内見が決まる |
| 条件に合う新着物件の通知 | 条件のよい物件は、知らせる前に決まる |
| 価格改定のお知らせ | 検討をやめていたお客様が戻る最大のきっかけを逃す |
| 休眠顧客の掘り起こし | 検討を再開した人に気づけない |
| 投資家向けの買い増し提案 | 既存顧客の中にある機会を取りこぼす |
現場では、作業を減らすために、セグメントを「23区」「市部」のように大きく括る、配信の回数を減らす、といった妥協も始まります。どれも送れはしますが、届く物件がまた合わなくなり、お客様は他社経由で物件を決めていきます。配信作業を兼務している営業担当にとっては、内見や商談に使う時間そのものが削られていきます。
解決策:物件が自動で入る「プログラマブルEメール」
この行き詰まりを解く方法が、お客様ごとに、合う物件が自動でメールに入る仕組み(動的メール)です。HubSpotでは「プログラマブルEメール」という機能で組めます。

仕組みはシンプルです。
- お客様の希望条件(エリア・価格帯・間取り・利回りなど)を、選択式のデータとして持っておく
- 販売中・募集中の物件を、同じ項目をそろえたデータとして持っておく
- 配信の瞬間に両者を照合し、その人の条件に合う物件だけをメールに差し込む
メールのテンプレートは1つだけです。佐藤さんには世田谷の3LDK、田中さんには大阪の2LDK、鈴木さんには利回り重視の投資用物件、と中身が自動で変わります。セグメントを何百本も作る必要はなく、物件データで販売終了にした物件は、次の配信から載らなくなります。案内済みの物件や、内見・申込済みの物件を外す条件も、テンプレートの側に組み込めます。
担当者の手元に残る作業は、次のように変わります。
| 工程 | セグメントごとの手作業 | お客様ごとに中身が変わるメール |
|---|---|---|
| 対象を絞る | セグメントの数だけリストを作る・更新する | 不要。お客様の希望条件のデータをそのまま使う |
| 物件を選ぶ | セグメントごとに物件を探す | 不要。配信の瞬間に自動で照合する |
| 本文を作る | セグメントの数だけ作り分ける | テンプレート1つ |
| 確認する | セグメントごとに成約済みや掲載URLを確かめる | 物件データの更新に集約される |
| 送る | セグメントの数だけテスト・予約する | 配信設定は1回 |
セグメントを細かくするほど作業が増える、という関係がなくなります。条件を「1人ひとり」まで細かくしても、担当者の作業は増えません。手作業ではあきらめていたメールも、届けたいタイミングで自動で送れるようになります。
- 反響直後の初回返信:問い合わせフォームの希望条件をもとに、反響があったその日に「ご希望に近い物件」を載せて届く
- 新着物件の自動レコメンド:毎週決まった時間に、その人に合う新着物件だけが載ったメールが届く
- 価格改定のお知らせ:検討条件に合う物件の価格が下がったときに、条件の合うお客様にだけ知らせる
- 休眠顧客の掘り起こし:しばらく接点のない人に、反響時の希望に合う物件が出たタイミングで声をかける
- 投資家向けの買い増し提案:保有物件や過去の購入条件に近い物件が出たときに案内する
例1のような「物件が出るたびに人が顧客を思い出す」状態も、同じ仕組みで変わります。顧客の希望エリア・価格帯・予算の上限を項目として持ち、物件に販売中/販売終了と提案済みの記録を持てば、「この物件を組める人は誰か」は配信の瞬間に機械的に照合できます。破談になった物件も、次に提案できる顧客が自動で並びます。
HubSpotの「プログラマブルEメール」で使えるプランと注意点
HubSpot(MA・CRMツール)のプログラマブルEメールは、Marketing HubのProfessionalとEnterpriseで使えます。プランによって、使えるデータが変わります。
- Professional:コンタクト・会社・製品など、標準のCRMデータに合わせて内容を出し分けられる
- Enterprise:さらに、HubDB(HubSpot内のデータベース表)やカスタムオブジェクトに入れたデータを使える。物件リストをHubDBやカスタムオブジェクトに入れて、そこから合う物件を抽出する形はこちらが必要
実装にはHubL(HubSpot独自のテンプレート言語)を使います。また、1通のプログラマブルEメールに使えるCRM関数は5つまでで、使う数が多いほど1回の配信で送れる人数の上限が下がる、といった仕様上の制約もあります(2026年10月時点でHubSpotのナレッジベースではベータ機能の表記。出典:HubSpotナレッジベース「プログラマブルEメールを作成」)。どちらのエディションで足りるかは、手元のデータと、どんなメールを送りたいかで決まります。
不動産での具体的な使い方(新着物件の自動レコメンド、反響後の追客・掘り起こし、価格改定の自動お知らせ)と、導入までの進め方は、不動産仲介・販売向けプログラマブルEメール構築支援のページで詳しく紹介しています。自社の顧客データと物件データで何ができそうかを知りたい方は、あわせてご覧ください。
導入の前に決めておく5つのこと
プログラマブルEメールの成否は、ツールよりもデータと決めごとで決まります。次の5点を先に整理しておくと、導入の検討がスムーズに進みます。

1. 希望条件が「選べる形」で入っているか
照合の土台は、お客様の希望条件です。反響のメモに自由記述で「できれば世田谷のあたり、予算は7,000万くらいまで」と書かれているだけでは、機械的に照合できません。エリア・価格帯・間取り(投資用なら利回り・築年・融資の上限)などを選択肢として持っているか、問い合わせフォームの段階で選んでもらえているかを確認しましょう。複数の希望を選べる場合は、どれを優先して照合するかも決めておきます。例1のように営業の頭の中とスプレッドシートに散らばっている場合は、項目を決めて集めるところからです。表記ゆれや重複が多い場合は、先にデータの整理が必要です(参考:CRMデータクレンジング完全ガイド)。
2. 物件データがどこにあり、販売終了がいつ反映されるか
物件の情報が物件管理システムや社内の基幹システムにある場合は、それをメール配信の仕組みにどう取り込むか、どの頻度で同期するかの設計が必要です。成約や掲載終了の反映が遅れると、動的メールでも古い物件が載ってしまいます。例1のように物件に「販売中/販売終了」の区別がない場合は、まずその項目を持つところからです。物件情報を複数のポータルサイトと自社サイトに手で入力している会社は、更新する場所を1つにまとめられるかも、このタイミングで考えておきたい点です(参考:不動産の物件情報管理をAIで一元化する方法)。
3. 「送らない」ルールを言葉にできるか
何を載せるかと同じくらい大切なのが、何を載せないかです。成約済み・掲載終了の物件、すでに案内した物件、内見・申込済みの物件、進行中の取引があるお客様、配信を控えるお客様など、外すべき条件を書き出しておきましょう。「同じ物件を同じ人に2回案内しない」「申込が入っている物件はほかの人に案内しない」のように、営業の現場では当たり前にしている判断ほど、言葉にされていないものです。判定が複雑なものは、社内のシステム側で先に判定しておき、その結果だけを配信の仕組みに渡す、といった役割分担も有効です。
4. 営業からの連絡と、会社からのメールの役割を分けられるか
不動産では、お客様との連絡が営業担当個人の電話やLINEで進んでいることが多く、そこに会社からの追客メールが加わります。両方から同じ物件の案内が届けば、お客様は戸惑います。「新着・価格改定・定期案内は仕組みが送り、内見の調整や個別の相談は営業が担う」のように役割を分け、送りたいメールが重なったときにどれを優先するかも決めておきましょう。条件に合う物件が少ないエリアでは載せる件数や頻度を下げる、といった例外の扱いもここで決めます。
5. 何で効果を測り、誰が改善を回すか
開封率は計測の仕組み上ぶれやすい指標です。開封は多くの場合メール内の画像の読み込みで判定されるため、受信側の設定や環境によって実態とずれます。「クリック、内見予約、来店予約、問い合わせ」までを指標に置き、従来の一斉配信と比べて検証できるようにしておきましょう。あわせて、配信後に条件や載せ方を見直すのを誰が担うかも決めておきます。仕組みを社内で理解し、改善を続けられる体制があるかどうかで、導入後の成果は大きく変わります。
なお、HubSpotのMarketing Hubは、メール配信の対象にする「マーケティングコンタクト」の数で費用が変わる仕組みです。過去の反響顧客を含めて大量の連絡先を配信対象にする場合は、誰を対象にするかの設計も費用に直結します(参考:HubSpotマーケティングコンタクト課金を3割削減する設定レシピ)。HubSpotそのものの導入や、顧客データ・物件データの設計から整えたい場合は、UniteXのHubSpot導入・構築支援でもご相談を承っています。
自動化しても押さえておきたい、追客メールの基本
物件が自動で入るようになっても、メールとして読まれるための基本は変わりません。テンプレートを作るときに、次の点を押さえておきましょう。

- 件名の先頭に、相手の希望条件を置く:「【世田谷区・3LDK】7,000万円以下の新着3件」のように、開く前に自分向けだと分かる形にする。プログラマブルEメールなら、件名にも希望条件や件数を自動で入れられる
- 物件は数件に絞り、合う理由を添える:多くても3〜5件を目安に。1件ごとに所在エリア・価格・間取り・駅からの距離・合う理由・詳細ページへのリンクをそろえる
- 情報の時点を書く:「10月19日時点で販売中」のように、いつの情報かを明記する
- 次の行動は1つに絞る:「内見を予約する」か「詳細を問い合わせる」のどちらかに
- 希望の変更を受け付ける:「返信するだけで希望条件を更新します」と添えておくと、次の配信の精度が上がる
あわせて、物件を案内するメールには守るべきルールがあります。
- 「おとり広告」の規制:不動産の表示に関する公正競争規約の第21条は、実際には取引できない物件の表示を「おとり広告」として禁じています。不動産公正取引協議会連合会のガイドラインでは、成約済みの物件の表示が「実際には取引の対象となり得ない物件」の例として挙げられ、インターネット上の広告も規約の「表示」に当たるとされています。実際に措置された例として、掲載後に契約済みとなった物件を削除せず更新を怠ったケースも示されています(出典:不動産公正取引協議会連合会「『おとり広告』の規制概要及びインターネット広告の留意事項」2019年11月1日)。宅地建物取引業法も第32条で、著しく事実に相違する広告を禁じています(出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」)。成約済みの物件が自動で外れる仕組みは、この点でも有効です
- 特定電子メール法:広告宣伝メールは、例外を除いて同意を得た相手にだけ送り、送信者の名称と受信拒否の方法を表示する必要があります(参考:総務省「迷惑メール対策」)
- Gmailの送信者ガイドライン:Gmail宛てに1日5,000件以上送る送信者には、SPF・DKIM・DMARCの設定とワンクリック登録解除への対応が求められます(出典:Google「メール送信者のガイドライン」)。過去の反響顧客まで含めると、この基準に届く会社もあります
反響直後の初回対応そのものの速さについては、不動産の反響対応を高速化する方法で別に解説しています。追客メールの自動化は、この初動の次に効いてくる施策です。
まとめ
- 追客メールの手間の正体は、セグメントごとに合う物件を探して貼り付ける作業にある
- セグメントは配信内容を変えたい数だけ増える。本当に合わせようとするほど「1人1通り」に近づくため、手作業ではそもそも実現できない
- 実際の現場でも、物件選びの手作業や営業の記憶への依存、条件ごとのリストとメールの複製、除外と鮮度の管理、データの分断がそろって起き、送りたいメールほど送れなくなっている
- 解決策は、お客様の希望条件と物件データを配信の瞬間に照合し、物件を自動で差し込むこと。HubSpotではプログラマブルEメールで実現できる(Marketing Hub ProfessionalとEnterprise)
- 導入前には、希望条件のデータ、物件データの置き場所と更新、「送らない」ルール、営業との役割分担、改善を回す体制の5点を決めておく
UniteXは、HubSpot Platinum Solutions Partnerです(日本でPlatinum以上の認定を受けているのは17社。2026年9月時点)。CRMのプロフェッショナルが、プログラマブルEメールの出し分け設計からHubLでの実装、配信後の改善までを支援しています。「物件を手で貼る作業をなくしたい」とお考えでしたら、不動産仲介・販売向けプログラマブルEメール構築支援から、まずは自社のデータで実現できそうかどうかをお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 手作業のまま、物件を貼る手間を減らす方法はありますか?
セグメントを反応の大きい条件に絞る、本文のひな形を決めて物件の差し替えだけにする、といった工夫はできます。ただし、どちらもセグメントの数に比例して作業が増える構造は変わりません。セグメントを細かくしたい、1人ひとりに合わせたい、という段階に来たら、物件を自動で差し込む仕組みに切り替えるのが現実的です。
Q2. プログラマブルEメールは、HubSpotのProfessionalでも使えますか?
使えます。プログラマブルEメールはMarketing Hub ProfessionalとEnterpriseの機能です。Professionalでは、コンタクト・会社・製品など標準のCRMデータに合わせた出し分けができます。物件リストをHubDB(HubSpot内のデータベース表)やカスタムオブジェクトに入れて、そこから合う物件を抽出する形にはEnterpriseが必要です。どちらで足りるかは、お持ちのデータと送りたいメールで決まります。
Q3. 自社の物件管理システムから物件メールを配信しています。それでも見直す必要はありますか?
手作業がなくても、送信できる通数の上限や、開発時に決めた配信条件の範囲でしか送れないことが、施策の足かせになっている場合があります。「価格改定された物件を、条件の合う人にだけ知らせる」のような新しい切り口のメールを試すたびに開発の依頼が必要なら、見直す価値があります。物件や顧客のデータは基幹システムに残したまま、配信の条件づくりと送信だけをマーケティング担当が自由に組める仕組みに移す、という分け方もできます。
Q4. 物件データが物件管理システムやポータルサイトの管理画面にあります。それでも組めますか?
組めます。社内のシステムにある物件データを、HubSpotにどう取り込むか、どの頻度で同期するかを設計すれば実現できます。大事なのは同期の頻度で、成約や掲載終了がすぐに反映されないと、古い物件が載る問題は解消されません。
Q5. 顧客の希望条件が、営業担当の頭の中にしかありません。それでも始められますか?
始められますが、先に希望条件を項目として集める工程が必要です。エリア・価格帯・間取り(投資用なら利回り・築年・融資の上限)のように、照合に使う項目を決めて、既存の顧客については営業担当に入力してもらい、新しい反響については問い合わせフォームで選んでもらう形にします。この整理ができると、メール配信だけでなく、「この物件を提案できる人は誰か」を一覧で見られるようにもなります。
Q6. 一斉配信はやめるべきですか?
物件を載せないお知らせ(年末年始の営業日の案内、住宅ローン金利の動向など)は、一斉配信で問題ありません。見直したいのは、物件そのものを載せるメールです。お客様によって合う物件が違う以上、全員に同じ物件を並べる形は反応が落ちやすくなります。
Q7. 営業担当がLINEで個別に物件を送っています。会社からのメールと重なりませんか?
重なり得るため、役割を分けておくことが大切です。新着・価格改定・定期の案内は仕組みが送り、内見の調整や個別の相談は営業担当が担う、という分け方が基本です。営業担当が送った物件を「案内済み」として記録できれば、会社からのメールで同じ物件を外すこともできます。不動産のAI活用全般については、不動産業のAI活用ガイドもあわせてご覧ください。




