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AI FlowAI2026.07.01UniteX編集部・約13分で読めます

散らかった営業資料をAIで整理する方法
探す時間をなくす仕組みづくり

散らかった営業資料をAIで整理する方法
探す時間をなくす仕組みづくり
井元裕樹
監修者株式会社UniteX 代表取締役
井元 裕樹

大手IT企業、Sansan、HubSpot Japanを経て2024年に株式会社UniteXを創業。数百社のCRM導入・業務設計を経験する中で「ツール導入だけでは組織は変わらない」という課題に直面し、AI×業務プロセス最適化サービス「AI Flow」を立ち上げ。業務理解・ビジネス理解・CRM・AIの4軸で、企業の業務プロセスそのものを再設計する支援を行っている。

「この提案書、最新版はどれ?」と毎回チャットで聞いている
辞めた人のフォルダに大事な資料が眠っているらしいが、怖くて触れない
探すより作ったほうが早い気がして、同じような資料を何度も作っている

AI活用のご相談で営業部門の方と話すと、ふたを開ければ悩みの半分は「資料が見つからない」だった——この一年、そんな打ち合わせが何度もありました。提案書、見積書、事例資料。どれも会社の財産のはずなのに、共有フォルダの奥で迷子になっています。

資料は、増えることはあっても自然に減ることはありません。

この記事では、散らかった営業資料を片づけて「探す時間」を消す方法を解説します。鍵になるのは、指示するとフォルダの中身を自分で見て動く「エージェント型」と呼ばれるAIです。ChatGPTの画面に一件ずつ貼り付けて聞くやり方とは、できることの規模がまるで違います。

ただし、AIに丸投げすれば片づくわけではありません。人がルールを決め、AIが実行し、人が確認する。この分担を軸に、散らかる原因から道具の選び方、進め方、散らかりを戻さない運用まで、順を追って見ていきます。

この記事でわかること
  • 営業資料が散らかる3つの要因
  • なぜ人力の整理は続かないのか
  • 解決策は「エージェント型AI」——指示すると、自分で動く
  • 道具は3つ——Claude Cowork・Claude Code・Codexの選び方
  • 進め方——全部を一気に整理しない

営業資料が散らかる3つの要因

営業資料が散らかる3つの要因(管理が個人任せ・置き場所のルールがない・フォルダの中がぐちゃぐちゃ)の図解

まず、なぜ散らかるのかを整理します。散らかり方は会社ごとに違って見えますが、支援の現場で原因をたどると、ほぼ次の3つに行き着きます。

要因1:資料の管理が個人任せになっている

Aさんは共有フォルダ、Bさんは自分のドライブ、Cさんはチャットに添付したまま。資料の持ち方が、会社の決まりではなく個人の流儀に任されている状態です。

この状態が一番こたえるのは、人が辞めたときです。本人にしか分からない分け方のフォルダだけが残り、大事な事例資料ごと行方不明になります。「あの資料、たしか〇〇さんが持っていたはず」で止まる仕事、心当たりはないでしょうか。

要因2:置き場所のルールが決まっていない

同じ提案書が、共有フォルダと個人のドライブとチャットに一部ずつ。どれかが更新されると、残りは古いまま生き続けます。どこにあるのが正式版なのか、誰にも決められていないので、探す側は全部の場所を見て回るしかありません。

要因3:フォルダの中が整理されず、ぐちゃぐちゃになっている

置き場所までは決まっていても、その中が無法地帯という会社も多いです。階層の切り方も名前の付け方も人それぞれ。「提案書_final」「提案書_final2」「提案書_final_修正版」が並び、新しい資料はとりあえず空いた場所に置かれていきます。目当てのフォルダにたどり着いても、そこから先で迷子になります。

そして3つの要因が重なった先に、一番大きな損失が待っています。探して見つからないと、人は作るのです。実は隣の部署に同じ業界向けの提案書があったのに、半日かけて一から作り直す。この「見えない作り直し」が、散らかりの本当の代償です。

ポイント:3つの要因はつながっています。管理が個人任せだから置き場所が割れ、置き場所が割れるからフォルダの中も荒れる。どれか一つを直すのではなく、三つまとめて仕組みで受け止める必要があります。

なぜ人力の整理は続かないのか

「今度こそ整理しよう」と決めて、フォルダの決まりを作り、大掃除をした経験がある方は多いと思います。そして数か月後、元に戻っていたことも。

これは担当者の意志が弱いからではありません。構造的に続かないのです。

理由は3つあります。第一に、整理は誰の本業でもないこと。営業の評価は受注で決まり、フォルダをきれいにしても数字にはなりません。忙しくなれば真っ先に後回しになります。第二に、分類には判断が要ること。「この提案書は業界別に置くべきか、商品別に置くべきか」という判断は意外と重く、一件ずつ人がやると必ず息切れします。第三に、ルールを守るより破るほうが速いこと。急いでいるときに命名の決まりを思い出して従うより、とりあえずデスクトップに保存するほうが早い。この小さな近道の積み重ねが、散らかりの正体です。

つまり人力の整理が失敗するのは、「判断の手間」と「続ける根気」を人に求めすぎるから。ここを肩代わりしてくれる存在が、ようやく現れました。

解決策は「エージェント型AI」——指示すると、自分で動く

エージェント型AIと人の役割分担(人がルールを決め、AIがフォルダを見て実行し、人が確認する)の図解

ChatGPTやClaudeの画面にファイルを一件ずつ貼り付けて、「これは何の資料?」と聞く。この方法でも分類はできます。ただ、営業フォルダのファイルは数百件、数千件あります。一件ずつ運んでいたら、AIを使っているのに人が力尽きます。

そこで使いたいのがエージェント型AIです。エージェントとは「代理人」のこと。指示を受けると、フォルダの中身を自分で見て回り、ファイルを開いて読み、名前を変えたり移動したりという作業まで自分で進めるAIを指します。人がファイルをAIに運ぶのではなく、AIがフォルダに入っていく。この向きの違いが、整理の現実味を大きく変えました。

エージェント型AIが資料整理でできることは、大きく4つです。

1. 中身を読んで分類する

ファイル名が「新規資料(2)」でも、中身を開けば「製造業向けの、在庫管理の提案書」だと分かります。エージェント型AIはフォルダ全体を読んで回り、「業界・商材・資料の種類」で分類する案を一気に出せます。人がやると一件数分かかる判断が、数百件まとめて下書きになります。

2. 命名を統一する

「日付_種類_相手先」のような決まりを先に伝えれば、中身を読んで「20260415_提案書_製造業A社向け.pptx」といった名前に付け替えられます。一括での付け替えを人がやると丸一日仕事ですが、エージェント型AIなら決まりを一度伝えるだけです。命名ルールが初めて現実に守られるようになります。

3. 重複と古い版を見つける

名前が違っても中身がほぼ同じファイルを、内容の近さから探し出せます。「この5つはほぼ同じ内容。日付が一番新しいのはこれ」という形で候補を挙げさせ、残すものを人が決める。final地獄の解消は、この分担が一番現実的です。

4. 整理を続けられる

一度決めたルールと手順は、そのまま繰り返せます。「先月と同じ点検をして」と頼めば、新しく増えたファイルの分類も、置き間違いの検出も、同じ基準でもう一度やってくれます。人力の整理が挫折してきた「続ける」の部分こそ、エージェント型AIの得意分野です。

ここで一つ、正直にお伝えしたいことがあります。

「AIが全部自動でやってくれる」わけではありません。どんな決まりで整理するかを決めるのは人です。そして「これは残す・これは消す」という最終判断も人の仕事として残ります。人がルールを決め、AIが手を動かし、人が結果を確認する。この分担が崩れると、整理そのものが信用できなくなります。逆にこの分担さえ守れば、人の作業は「ゼロから考える」から「案に丸をつける」に変わります。

項目人力だけルールだけ決めるルール+エージェント型AI
始めるときの手間△ とても重い○ 軽い○ 比較的軽い
分類・命名の負担△ 全部人が判断△ 全部人が判断◎ AIが実行、人は確認
続けやすさ△ 息切れしやすい△ 形骸化しやすい◎ 同じ指示で繰り返せる

道具は3つ——Claude Cowork・Claude Code・Codexの選び方

では、具体的にどのエージェント型AIを使えばいいのか。2026年時点で、営業資料の整理に現実的な候補は次の3つです。

ClaudeClaude Cowork(クロード コワーク)

Anthropic(アンソロピック)社が提供するパソコン用のアプリです。一番の特徴は、エンジニアでなくても使えること。フォルダを渡して「この中を資料の種類別に整理して」「名前の付け方を統一して」と日本語で頼めば、中身を確認しながら作業してくれます。営業部門が自分たちで始める最初の一歩には、これが一番向いています。

ClaudeClaude Code(クロード コード)

同じくAnthropic社の、より本格的なエージェントです。ターミナル(文字で指示する黒い画面)で動くため、見た目のとっつきにくさはあります。その分、大量ファイルの一括の名前変更・振り分け・重複検出といった作業を、決めたルールで何度でも繰り返し実行できます。IT担当や情報システム部門と組んで、社内の整理の仕組みとして育てたい会社に向いています。

OpenAICodex(コーデックス)

OpenAI社のエージェントで、役割はClaude Codeに近い位置づけです。ChatGPTをすでに全社で契約している会社なら、契約をまとめられる分、有力な選択肢になります。

項目Claude CoworkClaude CodeCodex
使いやすさ(現場の方向け)◎ 画面から日本語で頼める△ ターミナル操作が必要△ ターミナル操作が必要
できることの幅○ 日常の整理には十分◎ 大量・反復処理に強い◎ 大量・反復処理に強い
向いている会社まず営業部門だけで試したいIT担当と組んで仕組み化したいChatGPTを契約済みで揃えたい

選び方はシンプルで構いません。迷ったらClaude Coworkで小さく始める。整理が回り始めて、対象を全社に広げたくなったら、IT担当と一緒にClaude CodeかCodexで仕組みにする。この順番なら失敗しにくいです。逆に「どれが最強か」の比較検討から入ると、選定だけで数か月が過ぎます。道具選びに時間をかけるより、手元のフォルダ一つで試すほうが、答えは早く出ます。

進め方——全部を一気に整理しない

営業資料整理の進め方5ステップの図解

道具が決まると「よし、共有フォルダを全部やるぞ」となりがちですが、ここが一番の落とし穴です。数千件を一度に対象にすると、エージェント型AIは動き続けられても、結果を確認する人のほうが力尽きます。

先に整理すべきは、全体の2割の「よく使う資料」です。

探す時間の大半は、頻繁に使う一部の資料に集中しています。そこから手をつければ、効果が早く出て、続ける気持ちも保てます。おすすめの手順は次の5段階です。

  1. よく使う資料を洗い出す——直近3か月で実際に使った提案書・見積書・事例を、営業メンバーに挙げてもらいます。多くても数十件のはずです。
  2. 置き場所と命名の決まりを先に作る——階層は浅く(2〜3階層まで)、命名は「日付_種類_相手先」など3要素まで。ここを凝りすぎないのが肝心です。業界×商材×フェーズ×担当…と精緻な体系を作り込むと、AIへの指示も人の確認も重くなり、結局回りません。粗く始めて、探しにくい所だけ後から分ける順番が正解です。
  3. エージェント型AIに整理を実行させる——対象フォルダと決まりを伝え、分類・名前の付け替え案・重複候補の一覧を作らせます。Claude Coworkなら「このフォルダの中を、この決まりで整理して。実行前に一覧で見せて」と日本語で頼むだけです。
  4. 人が確認して、確定する——一覧に目を通し、丸をつけて確定。ここで「最新版はこれ」という正本を一つに決めます。
  5. 古い場所は消さずに「書庫」にする——旧フォルダは削除せず、書き込み禁止の保管場所に移すだけにします。「消して困ったらどうしよう」という不安をなくすと、整理は一気に進みます。辞めた人のフォルダも、まずAIに中身の一覧表を作らせてから、使うものだけ引き上げる形にすると安全です。

もう一つ、始める前に「資料を探すのに1日どれくらいかかっているか」をメンバーに聞いておいてください。数字が残っていれば、整理後の変化が見え、続ける理由になります。

まとめ:「よく使う2割」から始めて、成功の形を小さく作る。残り8割は書庫に移し、必要になったものだけ順次引き上げれば十分です。

散らかりを戻さない運用ルール

散らかりを戻さない4つの運用ルールの図解

整理は一度きりの掃除ではなく、流れをせき止める堤防づくりです。せっかく片づけても、新しい資料が無秩序に流れ込めば数か月で元に戻ります。堤防として効くルールは、実はとても少なくて済みます。

  • 正本は一つ、場所で示す——「正式な最新版は、決められたフォルダにあるものだけ」と決めます。ファイル名に「final」と書くのではなく、置き場所そのものが最新の証になる状態にします。
  • 名づけはAIに頼む——資料を作ったら、保存前に「決まりに沿った名前をつけて」と一声かける習慣にします。人がルールを暗記する必要がなくなり、近道による崩れを防げます。
  • 棚卸しは四半期に一度、同じ指示で——3か月ごとに、よく使うフォルダの点検をエージェント型AIに実行させます。増えたファイルの分類、置き間違い、重複、古くなった資料の候補が一覧で出てくるので、人は30分ほど確認するだけ。「気づいた人が直す」ではなく、日程と決まった指示文で回る仕組みにするのが肝心です。
  • 担当を一人決める(ただし作業係ではなく判断係)——AIの案に最終判断を下す人を決めます。作業はAI、判断は担当者、という分担なら一人でも無理なく回ります。

安全面の注意も添えておきます。社外秘の資料をAIに読ませる際は、入力内容が学習に使われない法人向けの設定・契約になっているかを必ず確認してください。またエージェント型AIはファイルを動かせる分、対象フォルダを毎回はっきり指定し、「削除はしない・移動と改名まで」と指示に含めるのが安心です。範囲を決めて始めれば過度に恐れる必要はありませんが、この二つだけは省略できません。

よくある質問(FAQ)

Q1. Claude Cowork・Claude Code・Codex、どれから始めればいいですか?

営業部門が自分たちで試すならClaude Coworkです。画面から日本語で頼めるので、特別な知識が要りません。IT担当や情報システム部門と一緒に進められるなら、最初からClaude CodeやCodexで仕組みにする道もあります。大事なのは道具の銘柄より、「よく使う資料から」「人が最終判断する」という進め方のほうです。

Q2. 社外秘の資料を読ませて大丈夫ですか?

はい、対策があります。法人向けのプランや契約(Team・Enterprise・API利用など)では、入力した内容がAIの学習に使われない扱いが標準です。個人向けのプランでも、設定で学習に使わせないよう選べます。契約しているプランの条件と設定を確認した上で、まずは機密度の低い資料から範囲を決めて始めることをおすすめします。判断に迷う資料は最初の対象から外して構いません。

Q3. 全部整理し終わるまでどれくらいかかりますか?

「全部」を目標にしないことをおすすめします。よく使う2割の資料なら、数週間で目に見える変化が出ます。残りは書庫に移して、必要になったものだけ引き上げれば、実務上は困りません。

Q4. 費用はどれくらいかかりますか?

今あるフォルダのまま、AIの法人プランだけで始めるなら、月数千円程度の利用料から試せます。整理の仕組みづくりまで外部の支援を受ける場合は、資料の量や対象範囲で大きく変わるため、まず現状を診断してから範囲を決めるのが確実です。

まとめ——探す時間は、仕組みで消せる

営業資料の散らかりは、だらしなさの問題ではなく、判断と根気を人に求めすぎた仕組みの問題です。フォルダの中を自分で見て動くエージェント型AIが現れたことで、この構図は変えられるようになりました。

  • 散らかる要因は3つ。管理が個人任せ・置き場所のルールがない・フォルダの中がぐちゃぐちゃ
  • 解決の鍵はエージェント型AI。一件ずつ聞くのではなく、フォルダごと任せて実行させる
  • ただし全自動ではない。人がルールを決め、AIが実行し、人が確認する分担で初めて続く
  • 道具は3つ。まずClaude Cowork、仕組み化はClaude CodeかCodexで
  • 全部やらない。よく使う2割から始めて、正本は一つ・棚卸しは四半期ごとに同じ指示で

探す時間が消えると、営業は本来の仕事——お客様と向き合う時間に戻れます。半日かけた資料の作り直しが一件なくなるだけでも、始める価値は十分にあります。

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