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HubSpot公開日 2026.07.03・更新日 2026.08.12UniteX編集部・約14分で読めます

HubSpotのダッシュボードで経営層に見せるべき12指標 — CEO・営業部長・マーケ責任者の役職別テンプレート

井元裕樹
監修者株式会社UniteX 代表取締役
井元 裕樹

大手IT企業で3年半にわたり大手企業向け営業に従事した後、Sansan株式会社にて営業・カスタマーサクセスを経験。その後HubSpot Japanに入社し、提案営業として数百社のHubSpot導入を推進。2024年に株式会社UniteXを創業。夫婦ともにHubSpot出身で、家族でHubSpotにフルコミットする体制のもと、九州エリア初のHubSpot Gold Solutions Partner認定を経て、西日本エリア初のPlatinum Solutions Partnerに認定。AI×CRMで企業の事業変革を支援している。

結論: HubSpotのダッシュボードで経営層に見せるべき指標は、役職によって異なります。 CEO(経営者)には売上達成率・パイプライン総額・顧客獲得コスト(CAC)・顧客生涯価値(LTV)の4つ。営業部長には受注率・商談フェーズ別滞留日数・営業担当別パイプライン・フォーキャスト(売上予測)の4つ。マーケティング責任者にはリード獲得数・MQL転換率・チャネル別CPL・キャンペーンROIの4つ。合計12指標を3つのダッシュボードに分けて設定するのが、HubSpot Platinum Partnerとして50社以上を支援してきた私たちの推奨テンプレートです。

この記事でわかること
  • 「経営ダッシュボード」で失敗する会社の共通点
  • 役職別12指標の全体マップ
  • CEOダッシュボード — 事業全体の健康状態を一目で把握する4指標
  • 営業部長ダッシュボード — チームのパフォーマンスと予測精度を管理する4指標
  • マーケティング責任者ダッシュボード — リードの質と投資効率を測る4指標

「経営ダッシュボード」で失敗する会社の共通点

HubSpotを導入したものの、「ダッシュボードを作ったけど誰も見ていない」という声は少なくありません。

元HubSpot社員として社内のCS(カスタマーサクセス)チームにいた経験から言えば、失敗の原因は明確です。「見る人」を決めずに指標を詰め込みすぎているのです。

よくある失敗パターンはこうです。

  • 1つのダッシュボードに20個以上のレポートを配置
  • CEOが見たい「売上全体像」と、営業担当が見たい「個別商談」が混在
  • マーケティングの詳細データが経営会議で表示され、議論が脱線する

解決策はシンプルです。「誰が」「何の意思決定のために」見るのかを先に決め、役職別にダッシュボードを分けること。

本記事では、HubSpot Platinum Partnerとして多くの企業を支援してきた知見をもとに、経営層が本当に必要とする12の指標を役職別に整理し、そのまま使えるテンプレートとして提供します。

役職別12指標の全体マップ

まず、12指標の全体像を一覧で示します。

# 指標名 対象役職 HubSpotでの取得方法 確認頻度
1 売上達成率(実績/目標) CEO 目標レポート(Revenue Goal) 週次
2 パイプライン総額 CEO ディールレポート(Deal Pipeline) 週次
3 顧客獲得コスト(CAC) CEO カスタムレポート(広告費÷新規顧客数) 月次
4 顧客生涯価値(LTV) CEO カスタムプロパティ+計算フィールド 四半期
5 受注率(Win Rate) 営業部長 ディールレポート(Won/Total) 週次
6 商談フェーズ別滞留日数 営業部長 ディールレポート(Time in Deal Stage) 週次
7 営業担当別パイプライン 営業部長 ディールレポート(Owner別) 週次
8 フォーキャスト(売上予測) 営業部長 フォーキャストツール 週次
9 リード獲得数 マーケ責任者 コンタクトレポート(Create Date) 週次
10 MQL転換率 マーケ責任者 ライフサイクルステージファネル 月次
11 チャネル別CPL マーケ責任者 アトリビューションレポート 月次
12 キャンペーンROI マーケ責任者 キャンペーンレポート 月次

この12指標を3つのダッシュボードに分けて設定します。以下、各役職の4指標を詳しく解説します。

CEOダッシュボード — 事業全体の健康状態を一目で把握する4指標

経営者が見るべきは「会社は目標に向かって進んでいるか」を判断できる指標です。細かい営業活動やマーケ施策の詳細は不要。意思決定に直結する4つだけに絞ります。

指標1: 売上達成率(実績/目標)

なぜ必要か: 今月・今四半期の売上が目標に対して何%かを即座に判断するため。

HubSpotでの設定方法:
1. 「レポート」→「ダッシュボード」→「レポートを追加」
2. 「目標」カテゴリから「収益目標の達成状況」を選択
3. 表示形式は「ゲージチャート」が最適(達成率が直感的に分かる)
4. フィルターで期間を「今四半期」に設定

読み方のポイント: 四半期の経過日数に対して達成率が下回っていたら、パイプラインの質(指標2)を確認します。

指標2: パイプライン総額

なぜ必要か: 将来の売上の「種」がどれだけあるかを把握するため。一般的に、目標達成にはパイプライン総額が目標の3〜4倍必要とされます。

HubSpotでの設定方法:
1. 「レポート」→「カスタムレポートビルダー」
2. データソース: 取引(Deals)
3. フィルター: 取引ステージ ≠ 成約・失注
4. 表示: 金額の合計を「数値」で表示
5. 「棒グラフ」でフェーズ別の内訳も合わせて表示すると効果的

読み方のポイント: パイプライン倍率(パイプライン総額 ÷ 売上目標)が3倍を下回ると黄色信号。2倍以下なら即座にリード獲得の強化が必要です。

指標3: 顧客獲得コスト(CAC)

なぜ必要か: 1社の新規顧客を獲得するためにいくらかかっているかを把握し、投資効率を判断するため。

HubSpotでの設定方法:
1. Marketing Hubの広告連携で広告費を自動取得(Google広告・Meta広告)
2. カスタムレポートで「月間マーケティング費用 ÷ 新規顧客数」を算出
3. 人件費を含める場合は、カスタムプロパティに月次で手動入力

読み方のポイント: CACがLTV(指標4)の1/3以下であれば健全。LTVの1/2を超えると収益性に問題があります。

指標4: 顧客生涯価値(LTV)

なぜ必要か: 顧客1社あたりの生涯収益を把握し、CACとのバランスで事業の持続可能性を判断するため。

HubSpotでの設定方法:
1. カスタムプロパティ「月額単価」「契約月数」を取引オブジェクトに作成
2. 計算フィールドで「月額単価 × 平均契約月数」を自動算出
3. コンタクト/会社オブジェクトにロールアップで紐づけ
4. レポートで平均LTVを「数値」として表示

読み方のポイント: LTV/CAC比率が3:1以上であれば成長投資の余地あり。1:1に近づくと、価格改定か解約率改善が急務です。

CEOダッシュボードの4指標構成(売上達成率・パイプライン総額・CAC・LTV)

営業部長ダッシュボード — チームのパフォーマンスと予測精度を管理する4指標

営業部長が見るべきは「チームは計画どおりに動いているか」「今月の着地見込みはいくらか」の2点です。

指標5: 受注率(Win Rate)

なぜ必要か: 商談全体のうち何%が受注に至っているかを把握し、営業プロセスの健全性を測るため。

HubSpotでの設定方法:
1. ディールレポート →「取引結果」レポートを使用
2. 期間フィルターで「今月」を設定
3. 「成約数 ÷ (成約数 + 失注数)」をパーセンテージで表示
4. 担当者別の内訳も横棒グラフで追加すると比較が容易

読み方のポイント: BtoBの一般的な受注率は20〜30%。この数値が急落した場合は、リードの質(マーケ側の問題)か営業スキル(育成の問題)かを切り分けます。

指標6: 商談フェーズ別滞留日数

なぜ必要か: 商談が特定のフェーズで止まっていないかを検知し、ボトルネックを特定するため。

HubSpotでの設定方法:
1. ディールレポート →「ディールステージ滞在時間」レポート
2. 各ステージの平均滞在日数を棒グラフで可視化
3. フィルターで「現在進行中の取引」に絞る

読み方のポイント: 「提案済み→見積もり」フェーズの滞留が長い場合、提案内容か価格設定に課題があるサインです。各フェーズの目安日数を事前に設定し、超過した商談は1on1でフォローします。

指標7: 営業担当別パイプライン

なぜ必要か: チーム内の偏りを把握し、リソース配分やコーチングの優先順位を決めるため。

HubSpotでの設定方法:
1. ディールレポート →「取引所有者別のパイプライン」を選択
2. 担当者を横軸、金額を縦軸にした棒グラフ
3. 目標線(各担当の月間目標)を追加すると達成度が一目で分かる

読み方のポイント: 特定の担当者にパイプラインが偏っている場合、リード配分ルール(ラウンドロビン等)の見直しが必要です。

指標8: フォーキャスト(売上予測)

なぜ必要か: 今月・今四半期の着地見込みを正確に把握し、経営への報告精度を高めるため。

HubSpotでの設定方法:
1. Sales Hub Professional以上で「フォーキャストツール」を使用
2. 各営業担当が自分の商談に「コミット」「ベストケース」「パイプライン」のカテゴリを設定
3. マネージャーがチーム全体のフォーキャストを確認・調整
4. ダッシュボードには「コミット合計」と「目標」の比較を表示

読み方のポイント: コミット値が目標の90%以上あれば安心ライン。70%を下回ると、追加商談の創出(マーケ連携)が必要です。

営業部長ダッシュボードの4指標構成(受注率・滞留日数・担当別パイプライン・フォーキャスト)

マーケティング責任者ダッシュボード — リードの質と投資効率を測る4指標

マーケティング責任者が見るべきは「リードを量・質ともに十分に供給できているか」「投資は効率的か」の2点です。

指標9: リード獲得数

なぜ必要か: マーケティング活動の「量」を把握する最も基本的な指標。パイプラインの入口の健全性を測ります。

HubSpotでの設定方法:
1. コンタクトレポート →「新規コンタクト作成数」
2. 期間: 今月 / 先月比較
3. 表示形式: 折れ線グラフ(トレンド把握)
4. オリジナルソース別(オーガニック検索・広告・紹介等)に分解して表示

読み方のポイント: リード数が前月比で20%以上減少した場合、チャネル別に原因を特定します。特にオーガニック検索の減少はSEOの健全性確認が必要です。

指標10: MQL転換率

なぜ必要か: 獲得したリードのうち、営業に引き渡せる品質(MQL: Marketing Qualified Lead)に達した割合を測るため。

HubSpotでの設定方法:
1. ライフサイクルステージのファネルレポートを使用
2. 「リード → MQL」の転換率を表示
3. ソース別に分解すると、どのチャネルが質の高いリードを供給しているかが分かる

読み方のポイント: 一般的なBtoBのMQL転換率は15〜25%。5%以下の場合、リードの定義(スコアリング基準)自体の見直しが必要です。

指標11: チャネル別CPL(Cost Per Lead)

なぜ必要か: 各マーケティングチャネルのリード獲得単価を比較し、予算配分を最適化するため。

HubSpotでの設定方法:
1. Marketing Hub Professional以上の広告連携を有効化
2. アトリビューションレポートで「チャネル別コンタクト作成数」を表示
3. 各チャネルの費用を手動またはAPI連携で取得し、CPLを算出

読み方のポイント: CPLだけでなく「CPL × MQL転換率」で実質的なMQL獲得コストを比較します。CPLが安くてもMQLに繋がらないチャネルは見直し対象です。

指標12: キャンペーンROI

なぜ必要か: 個別のマーケティング施策がどれだけの売上貢献をしたかを測り、次の施策判断に活かすため。

HubSpotでの設定方法:
1. 「キャンペーン」機能でキャンペーンを作成し、関連アセット(メール・LP・広告等)を紐づけ
2. キャンペーンレポートで「影響を受けた取引金額」を確認
3. キャンペーン費用を入力し、ROI = (売上 - 費用)÷ 費用 × 100% を算出

読み方のポイント: ROIが100%を超えているキャンペーンは継続・拡大候補。マイナスのキャンペーンは即座に停止か改善策を検討します。

マーケティング責任者ダッシュボードの4指標構成(リード数・MQL転換率・CPL・ROI)

ダッシュボード構築の3ステップ実践手順

12指標を理解したら、実際にHubSpotでダッシュボードを作成しましょう。

ステップ1: ダッシュボードを3つ作成する

HubSpotの「レポート」→「ダッシュボード」→「ダッシュボードを作成」から、以下の3つを作成します。

ダッシュボード名 対象者 レポート数の目安
経営ダッシュボード CEO・経営陣 4〜6個
営業マネジメント 営業部長・マネージャー 6〜8個
マーケティング成果 マーケ責任者・CMO 6〜8個

ステップ2: 権限を設定する

ダッシュボードの「アクション」→「アクセスを管理」で、閲覧権限を設定します。

  • 経営ダッシュボード: 経営陣のみ閲覧可能(機密データを含むため)
  • 営業マネジメント: 営業チーム全員が閲覧可能
  • マーケティング成果: マーケチーム+経営陣が閲覧可能

ステップ3: 定期配信を設定する

ダッシュボードの「アクション」→「定期Eメール送信を設定」で、自動配信を設定します。

  • CEO向け: 毎週月曜朝8時にPDF形式で自動送信
  • 営業部長向け: 毎週月曜朝8時に送信
  • マーケ責任者向け: 毎月1日に月次サマリーを送信

定期配信を設定することで、ダッシュボードを見に行く習慣がなくても重要指標が自動的に届きます。

経営会議でダッシュボードを活用する3つのコツ

ダッシュボードを作っただけでは成果は出ません。経営会議で実際に機能させるための3つの実践的なコツを紹介します。

コツ1: 「信号機ルール」を決める

各指標に対して、以下の3段階の基準を事前に設定しておきます。

状態 基準例(売上達成率) アクション
青(順調) 達成率 90%以上(期間進捗比) 報告のみ。次の議題へ
黄(注意) 達成率 70〜89% 原因分析と改善策を議論
赤(危険) 達成率 70%未満 即座に対策チームを組成

このルールがあると、会議で「何を議論すべきか」が明確になり、報告だけで終わる会議がなくなります。

コツ2: 「前回比」を必ず表示する

HubSpotのレポートでは、比較期間を設定できます。「今月 vs 先月」「今四半期 vs 前四半期」の前回比を表示することで、トレンドの変化を即座に察知できます。

コツ3: ダッシュボードのURLを会議の議題に貼る

ダッシュボードのURLを共有し、経営会議のアジェンダに毎回リンクを記載しておくと、参加者が事前に確認してから会議に臨めます。準備のない会議ほど非生産的なものはありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. HubSpotの無料プランでもダッシュボードは作れますか?

はい、HubSpot CRM無料プランでもダッシュボードは作成できます。ただし、作成できるダッシュボードは最大3つ、各ダッシュボードに配置できるレポートは10個までという制限があります。本記事の12指標をすべて実装するには、Marketing Hub ProfessionalやSales Hub Professionalの利用を推奨します。

Q2. ダッシュボードのレポートは最大何個まで配置できますか?

有料プランでは1ダッシュボードあたり最大30個のレポートを配置できます。ただし、経営向けダッシュボードは情報過多を避けるため、4〜8個に絞ることを推奨します。

Q3. CEOがHubSpotにログインしない場合はどうすればいいですか?

ダッシュボードの「定期Eメール送信」機能を使えば、ログインしなくてもPDFやリンク付きのメールで自動配信できます。毎週月曜の朝に自動送信されるよう設定しておけば、経営者はメールを開くだけで最新のKPIを確認できます。

Q4. 営業担当者ごとのダッシュボードも作るべきですか?

営業担当者向けには、本記事の12指標とは別に「個人用アクションダッシュボード」を作ることを推奨します。架電数・メール送信数・会議設定数といった日次のアクション指標を中心に構成し、経営ダッシュボードとは明確に目的を分けてください。

Q5. LTV(顧客生涯価値)をHubSpotで自動計算する方法はありますか?

HubSpotのOperations Hub Professionalに含まれる「計算プロパティ」機能を使えば、「月額単価 × 平均契約月数」の自動計算が可能です。サブスクリプション型ビジネスの場合は、HubSpotの「サブスクリプション」オブジェクトも活用できます。

Q6. ダッシュボードの指標を変更するタイミングは?

四半期に1回の見直しを推奨します。事業フェーズや組織の変化に応じて指標を入れ替えます。ただし、売上達成率やパイプライン総額といったコア指標は変えず、補助的な指標を調整するのがベストプラクティスです。

まとめ — 12指標テンプレート早見表

最後に、本記事で紹介した12指標を再掲します。

役職 指標 確認頻度 HubSpot必要プラン
CEO 売上達成率 週次 Sales Hub Starter以上
CEO パイプライン総額 週次 CRM無料
CEO 顧客獲得コスト(CAC) 月次 Marketing Hub Professional
CEO 顧客生涯価値(LTV) 四半期 Operations Hub Professional
営業部長 受注率 週次 CRM無料
営業部長 商談フェーズ別滞留日数 週次 Sales Hub Starter以上
営業部長 営業担当別パイプライン 週次 CRM無料
営業部長 フォーキャスト 週次 Sales Hub Professional
マーケ責任者 リード獲得数 週次 CRM無料
マーケ責任者 MQL転換率 月次 Marketing Hub Starter以上
マーケ責任者 チャネル別CPL 月次 Marketing Hub Professional
マーケ責任者 キャンペーンROI 月次 Marketing Hub Professional

最初の一歩: まずはCEOダッシュボードの4指標だけを作成してみてください。1時間もあればHubSpot上で設定完了できます。経営会議で「数字で議論する文化」が生まれれば、営業・マーケのダッシュボードも自然と必要になります。

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